椿の実 ～その２～

このおじいさん、まずは教会長室前の駐車場脇にいた。
そこで一心不乱に種を拾っていた。

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「どうぞ」と言ったものの「そんなもの拾って何に使うのだろう？」と疑問になる。
聞いてみようと思い、表に出る。
拾っている傍に言って「椿の実はそれですか？」と尋ね、「何に使うのですか？食用ですか？」と言うと、「実はこれですが、油を採るのです」と答えた。
そういえば椿油というものがあったと思いだす。

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嫁さんに「椿油を採るんだって」と伝えた後、仕事をしていてふと思い出す。
「あのおじいさんはどうしているんだろう？」と。
もう教会長室から見えるところには居ない。
不安がよぎる。

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本当は椿の実なんて目的じゃないのかも。