椿の実 ～その３最終章～

外から持ち出せるものを考える。
支所裏の物置にある工具類。
草刈り機や剪定道具。
草刈り機用のガソリンは底には置いていない。

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広間に回って物置を見るが扉は私が閉めた通りだ。
もし入って閉めたのなら、大きな音がする。
扉の下が錆びてしまってかなりのコツがいる。
そうしないとどちらかが開いたままになる。
そしてうまく閉めても「今閉めました！」という大きな音がするはずである。
それもない。

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梯子を掛けて２階へ上がったかとも思ったが、外から入れるのは我が家のベランダからしかない。
２階へ上がったが異常はなかった。
次に外に出てみると、支所の敷地のはずれにある坂の途中の椿の木の下に居た。
「やれやれだ」と安心した。
それにしても一生懸命だ。
見ている私にはまったく気付かない。
手に提げている袋はかなり膨れている。
安心して支所に入った。
それから時々気をつけていたが、その後は全く姿を現さず、消えてしまった。
満足して帰って行ったのだろう。

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椿の実が落ちて随分経つので、それをあてにしている会員さんはおられないと思うが、今後のためにも主だった人には聞いてみようと思った。
敷地内に知らない人が出入りするのは、確かに緊張した。